第144章 涙色の答案用紙(8)※小学生時代
(何を出したのかな?)
暫く手の中をじっーと見る家康。
「ねぇ?どうしたの?」
中身が気になって手の中を覗き込もうとした瞬間……家康はそれに反応してぎゅって拳を作って隠す。
「見ちゃいけなかった?」
「べ、別に///………ん!」
急に目の前に現れた腕。
家康は拳を作った方の腕をパンチするみたいに私に出すと、またそっぽを向く。
「……コレ、食べれば///」
「え?コレ?」
「塾で貰った。ひまりのお腹の音……バスの中で聞きたくないし」
また意地悪を言われて、思わず頬をハムスターみたいにパンパンに膨らませる私。でも、それはすぐにしぼんで……パッ!と、笑顔が浮かぶ。
手の中にコロンと乗せられたピンク色。
ハート形のキャンディーが三つ。
「うわぁ!いいの?貰っても?」
「バスでひまりのお腹なって、俺だと勘違いされるのやだし!あと!その色はたまたまだから!///」
急にペラペラ喋り出す家康。
塾の帰りに三つ好きなの選べって言われたけど、適当に選んだのがたまたまピンク色で、たまたまハート形だっただけ!って一生懸命話す隣で、私はご機嫌で手の中を見る。
「ありがとう!嬉しい!」
顔を上げてお礼を言うと、さっきまでそっぽを向いていたはずの家康が、いつの間にかこっちを見ていて……その目元がみるみる赤く染まる。