第144章 涙色の答案用紙(8)※小学生時代
そして、時間は過ぎ。
クッキーをラッピングする。
お皿に乗った
三枚のハート形のクッキー。
私はそれが何か別の形に見える気がして、パズルをするように並び替え、あっ!と短い声を上げた。
「天音ちゃん!見て見て!三枚のハート!下部分くっ付けたら、三つ葉になったよ!」
「ほんと!四枚あれば四つ葉のクローバーになったのにね」
天音ちゃんはそう言って、いつも読んでいる本から栞を取って、ヒラヒラ見せてくれる。
それを、見て私も鞄をガサゴソあさり……ジャーン!
夏休みの宿題。
読書感想文用に読んでいた本から、三つ葉の栞を取り出す。
「ごめんね?私が四つ葉の方をもらったから」
「え?全然いいよ!ほら!家康が天音ちゃんは幸運が必要だからって言ってたし!」
私は、三つ葉でも全然嬉しい!
二人で押し花にして作った栞を見せ合いっこ。
今年の春。病院の庭で三人で隠れんぼしたり、だるまさん転んだをして遊んでいた時に、家康が見つけたクローバーだった。
クッキーのラッピングが完成。
「そろそろ家康来るかな?」
ふと、時計の時間を見て私はピョンとパイプ椅子から下りる。
「今日、来るのいっちゃん?」
「うん!塾の帰りに寄るって!二人でこの後、図書館に行く約束したから!」
読書感想文用に借りてた本。ちょうど読み終わって返しに行く約束をしていた。
「帰りはね!おじさんが迎えに来てくれるみたいで………あ!」
すると、バッチリのタイミングで……
「失礼します」
「噂をすれば!」
家康が病室に入って来る。
すると天音ちゃんはバッと、ベット上で姿勢を正して、髪の毛を綺麗に手で整えて笑った。
(???)
どうしたのかな?
整えなくても、綺麗なのに。
肩の高さまで伸びた金色の髪。
窓からの光を浴びてキラキラして、サラサラと糸みたいに流れる。
猫っ毛の家康と髪質は違うけど、髪色はそっくり。