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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第143章 涙色のの答案用紙(7)




その言葉は……
家康から聞けるって。
今日一日。
ううん、あの花火の夜から……
ずっと、心が期待していた。

まだ、何処かで期待してる。
夢かもしれないって。
見間違いかもしれないって。
あり得ないことばっかり。




(家康……っ…)




政宗の想いを聞いても。
政宗の顔がみるみる近づいても。


目の前には、花火大会のあの日の
家康がいる気がして……



突然、唇に降りてきたぬくもり。
最初は何が起こってるのか、わからなくて。


でも、


ゆっくり離れて、涙が唇の中に入り込んだ瞬間。キスされたのがわかって……。





「お前から家康が完全に消える日まで」






ずっと、俺が側にいてやる。





政宗の深い海みたいな青い瞳が、
更に色濃く深まる。





「ひまり」





家康の柔らかくて甘い声とは違う。
政宗の声はどこか力強くて痺れるような……

胸を直接揺さぶられるような、
そんな声に私は成すすべがなくて……



好きだって、何度も囁かれて……



壊れかけた心が大きく、揺れる。


後頭部を掴まれ、
さっきとは全然違う、荒い手つき。
髪がぐしゃぐしゃにされて。
逃げても逃してくれなくて。




「逃がさねえ」




離れても何度も何度も塞がれて。




「…ちょと…っま、って…」




何かを考える隙を与えてくれない。





「待てるかよ。どれだけ俺が……」





今まで隠れていた政宗の激しい感情。
それを、ぶつけられているような……



そんな、キスだった。



カシャン…ッ…。




公園のフェンスの向こうで、誰かが走り去る足音。





唇がやっと離れた時に……聞こえた気がした。



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