第141章 涙色の答案用紙(5)※家康様side
そして、
俺は走り……
公園入り口のフェンス越し。
やっと二人を見つけて。
「ひっ、く……っ、ごめ、んね」
「謝るな。俺が家康を忘れさせてやる」
政宗と抱き合うひまり。
その台詞を聞いた瞬間。
ハッと顔を上げて……
「え………」
涙でぐちゃぐちゃな顔。
「もう、我慢はしねえ」
お前が好きだ。
ひまりの大きな瞳。
見開くのが見えて……
呆気なく唇を奪われ……
大粒の涙が地面を濡らす。
(俺は……っ……)
フェンスに寄りかかり
張り裂けそうな胸を押さえ……
こんな想いを。
これと同じ想いを、
ひまりにさせた自分が憎くて。
(ひまり……)
許せなかった。