第140章 涙色の答案用紙(4)
走って走って……
ただ、足だけを突き動かす。
手紙がもうグチャグチャと…か…っ。
前がなんに…も……見えなく…て、も。
あの場にいるよりは、ずっとマシで。
ずっとかラクで。ずっと、ずっと…
「…っく……あ、っ……」
食いしばる。
必死に食いしばって全力で走る。
「ひまり!!」
届けてくれなくて、いいのに…っ。
迫る足音、家康の声。
何を見た?
家康と天音ちゃんが、キスしてる所だよね?
家康からシテ…た、よね……っ?
そ、れが……答え。
だよ……ね?
そうだよ。
合宿の時、言ってた。
ーー昔すぎて忘れた。
ただ……初恋が本気に変わっただけ。
相手は変わってない。
ほら、プロフィール帳だって……
天音ちゃんのは……
『大切な女の子』
それからは真っ白。
走ることだけ。
でも、やっぱり追いつかれて……。
急に身体が強く後ろに、引っ張られる。
髪から三つ葉のヘアピンが落ちて……
パキッ……。
壊れた。
私が踏んで。