第140章 涙色の答案用紙(4)
放課後。
生徒の姿が消えた教室、廊下、校庭。
部活がない今日。
多分、校内に残っているのはごく僅かで。こんな風に、先生を探し回って走っているのは、私ぐらい。
(う〜ん。職員室にも、会議室にもいないなんて……)
呼んでおいて居なくなるような先生じゃない……織田先生は。確かに、無茶苦茶な所や横暴な所はあるけど……信念はしっかり持っている尊敬できる先生で……
私は足を動かし続け、ぐるぐると頭の中で考える。
急用で帰っちゃったとか?
もしかして、明日の放課後だったとか?
教室ガヤガヤしていたし、天音ちゃんも聞こえづらかったのかもしれない。
私は、廊下にぶら下がる大きな四角いボックス型の時計を見て……
(いけない!もう二十分以上、待たせちゃってる!)
手紙だけはしっかり握りしめてきた。
そう言えば、春もこうやって校内にウロウロして家康のこと、探してたよね?
新学期は、そういう日なのかも。
私はふふっと、一人で笑った後……
大急ぎで裏庭に向かう。
空っぽの下駄箱。
デジャブ。
家康の下駄箱。
あの時、流れ落ちた大量のラブレター。
それを思い出して、ちょっと気になったけど……
石碑にいるのが、わかってる今。
開ける必要がない。
それに最近はラブレター減ったって、情報通のゆっちゃんが言ってた。ファンクラブのリーダー的存在の築城さんが、迷惑を掛けないように活動しよう!って、呼びかけてくれたみたい。
私と築城さん。
クラスマッチのバスケで、
打ち解けてから、今では
普通に話せるぐらい仲良しさん。
(で、でも…もし付き合ったら…///)
色々とお小言は覚悟しないとね?