第139章 涙色の答案用紙(3)※家康様side
保健室前。
一旦、扉の前で立ち止まる。
耳と意識を使って、
中の様子をそれとなく確認。
(今は連れ込んだり。…してないみたいだけど)
明智先生は来るもの拒まず、今まで生徒に手をつけていた有名な常習犯。ひまりにも色々手を出してたみたいだし……。本人はそんな自覚ないけど。
扉開けた瞬間。
女を組み敷いてるとか……出来れば、そんな状況に立ち合いたくない。
俺は別にシラっと交わせるから良いけど……何も知らず見たら衝撃的。
白鳥に心臓負担は禁物。
静まり返った、中。
俺は大丈夫だと踏み、扉をあける。
「……失礼します」
「……珍しい奴が、来たな。何だ?怪我か?」
白衣を着たままデスクで何かの資料を見て、作業をしている明智先生。
脚を組んだまま、回転椅子で振り向くと俺の体を流し目で見る。
「違います。多分、鬼……じゃなくて、担任の織田先生から聞いてるとは思いますが、白鳥の件」
俺は、後ろに隠れるように立っている白鳥の腕を引き一歩前に出すと、用事に行っている間、保健室で待たせて貰えないかと頼む。
なるべく父さんからは、学校生活中は側にいるように言われたが、事情が事情だし、連れて行くわけにはいかない。
(ちょっとぐらい、イチャつきたいのが本音)
散々、我慢した。
やっと……捕まえれる。
やっと……届く。
少しぐらい、甘い時間過ごしてもバチは当たらないはず。渡したい物もあるし、話したいこともある。
「……事情は聞いている。具合が悪い時は、遠慮せず言え」
「ありがとうございます」
明智先生は突っ込んだ理由を俺に聞くことはせず、目で適当に座るように指示をする。
白鳥は軽く頭を下げ、先生の近くにあるソファに腰掛けた。
俺は、白鳥に用事が済んだらひまりと迎えにくるからと、伝える。
「……待ってるね。ちょっと初日で、疲れたから」
「何ならベットでゆっくり休みな。明日は、病院行く日だし。また、校内の案内は今度ひまり達に頼むと良い」
明後日、登校した時に二人に頼んどくから。