第138章 涙色の答案用紙(2)
「さっき先生から、ひまりちゃんに職員室に来るようにって。伝言頼まれて」
「あ、ありがとう!でも、何の用事かな?も、もしかしてもう歴史のテスト採点して!」
他に呼ばれる見覚えのない私は、一気に青ざめると肩を落とす。
「さすがにそれはないでしょ〜部活のことじゃない?」
「でも、部活のことなら部長の家康を呼ぶよね??」
行けばわかるよね?
手紙渡す前に、ちょっと心の準備したいのも本音。
「……ひまりちゃん。昔と髪の香り変わらないね?」
「ふふっ。それ家康にも良く言われるよ?他にも変わらない所、いっぱいあるけど?って嫌味付きだけど」
家康の口真似しながら言うと、天音ちゃんも昔の面影を残した優しい笑みを見せてくれて……
「天音ちゃん、すっごくおとなっぽくて綺麗だけど、笑顔はやっぱり優しくて昔と変わらないね!髪も金色で凄い綺麗!」
「ありがとう。でも、最近。傷んでるのが気になって。ひまりちゃんの髪こそ、お姫様みたいで、栗色で艶があって綺麗……何、使ってるの?」
どんなメーカーのを使ってるのかと聞かれて、私は鞄の中からポーチを取り出す。そこからいつも持ち歩いている洗い流さないタイプの、携帯用ヘアトリトーメントを出した時……
後ろからゆっちゃんの手がヒョイと伸びて……
「クンクン……うん!間違いなくひまりの香り〜」
「もう〜ゆっちゃんは、知ってるでしょ!」
「ひまり」
トリトーメントを返して貰おうと、わちゃわちゃ騒いでいると、家康に名前を呼ばれて……
ドキッ。
と、して……
ゆっくり顔と体を声がした方に向ける。
「今から、行ける?」
「あ、あのね!何か先生に呼ばれてるみたいで……」
一緒に行こうか?と言われ、少し間を開けた後。私は首を横に降って、一人で大丈夫だよ!と答えた。