第137章 涙色の答案用紙(1)
「白鳥天音と、申します。幼い頃から心臓病を患い。今度、大きな手術を予定しています。病院通いが多い為、学校にはあまり来れませんが、修学旅行で皆んなと思い出を作りたいと思っていますので、仲良くして下さい」
天音ちゃんの姿にクラスの数人の男子は、口をポカーンと開け見惚れる。金色の糸を紡いだような綺麗な髪。サラサラとお辞儀と一緒に揺らめいて、女の私でさえドキドキしてしまう。
「まぁ、まだ医者の卵にもなってはないが……一応、それなりの知識はあるようだからな。席は、家康の隣に行け」
天音ちゃんは先生に言われた通り、家康の隣に座る。
「……宜しくね、いっちゃん?」
「何でも良いけど、その呼び方やめて」
いっちゃん……。
あ、そっか。天音ちゃんは確か家康のことそう呼んで。
(時々、言い合いすると私がポロッと家康をそう呼ぶ時があって……)
ーーいっちゃん?……ならこれからは、私がそう呼ぼうかな?
どっちが呼んでるかわかりやすいからって。
「良いじゃない?懐かしくて。……ね??」
急に振り返る天音ちゃん。
私の方を見て、何故かウィンクをする。
そして、その一瞬……
胸がざわついたことに気づかないまま、私はニコッと笑い返した。
休み時間になって、
家康から詳しい話を聞く。
「なら、病室が開くまでの間は、天音ちゃんは家康の家にいるんだね!」
「まぁ、そうゆうこと。今晩、母さんが御馳走作るって、張り切ってたから。ひまりも、呼んでくるようにって」
「いいの?やったぁー!天音ちゃん!いっぱい話、しようね!」
口だけ少し動かして静かに笑う天音ちゃんに、私は早速、政宗とゆっちゃんを紹介する。
「激しい運動は禁止なの。日常生活はそこまで気にしなくても、大丈夫」
「一応、発作が出た時に、俺が対応出来るように。さっき織田先生と話してたとこ」
「よろしくね〜また、二人の小学校時の話。聞かせてね〜〜」
「宜しくな」
天音ちゃんは、修学旅行。
家康がいる私達の班で、行くことになった。