第137章 涙色の答案用紙(1)
キーンコーン……
カーンコーン……。
予鈴のチャイムが鳴る。
まだ教室にいない家康。
(新学期だから、またどっかでサボってるのかな?)
サボり常習犯の家康。
特に、式とか新学期は。
(早く会いたいのに……)
そう、思った時。
ガラガラと音を立てて、扉が開く。
思わず反射的に後ろを向くと、教室に入ってきた家康とバッチリ目が合って……。
皆んなに気づかれないように。
(おはよう)
(おはよ)
目と口パクで話して笑う。
家康の席は私の席よりも前。
織田先生曰く、後ろの席だと居眠りするからだって。だから、政宗も前に移動させられてる。
(今まで先生と話してたのかな?)
家康とは違う前の扉から教室に入る、織田先生。先生は白いチョークを持つと、黒板にスラスラと文字を書き始め……
(しら、とり、!……え!)
私は一文字、一文字心の中で呟きながら目で追う。そして全部読み終わった時。
教室に入ってくる金髪の女の子を見て……
ガタン!!
「白鳥天音って、天音ちゃん!?」
椅子と声を同時にひっくり返して、立ち上がる。
すると、
「ぷっ!……予想通りの反応」
「え!?家康知ってたの!?」
お腹を抱えてニヤリと口角を上げる家康を見て、メールの内容を理解する。
つまり、天音ちゃんの付き添いに朝早くに行ってたことだよね?
「もう!ケチ!教えてくれたって良いのに!」
「予想通りの反応するか、実験?」
「何だ?朝から、夫婦漫才かぁ〜」
「ヒューヒュ〜〜♡」
え///つい皆んなの冷やかしに顔を赤くする私達。
「まじか!!まじか!まじか!」
「夏休み何があったんだぁ〜〜?」
普段ならサラッと交わす、冷やかし。
でも今の私達は、違うともそうとも言えなくて困っていると……織田先生は教卓に日記をポンと置き、仁王立ちして騒ぐ男子を叱責。