第134章 夏の大三角〜あとがき〜
私は家の勉強机で、
一人百面相しながら手紙を書く。
いよいよ明日は、新学期。
ドキドキする。
北海道の最終日、立ち寄った雑貨屋さんで見つけた三つ葉の便箋。
運命を感じて。
『貴方が好き』
いっぱい悩んだ後。
ただ、一言に想いを込める。
オルゴールのネジをゆっくり回して。
その音色に耳を澄ませ、目を閉じると……
ーー最大のヒントあげたんだから、間違わないでよ。
花火大会の帰り道。
少し困り顔をして、
目元を赤くする家康を思い出す。
明日、聞けると良いなあ。
いつから?
いつから、私のこと……。
「ひまりーっ!晩御飯ーっ!」
「え///……はーい!……えっと、手紙は鞄の中に入れてっと!……あ……」
顔の筋肉緩ませた瞬間、階段下からお母さんの声。私は急いで返事して椅子から立ち上がると、いそいそと新学期の準備を始める。
そして鞄の中にずっと入れっぱなしになっていた、差出人不明の二通の手紙。その存在を思い出す。
(もう、良いよね。家康が書いたんじゃ無さそうだし…ね)
白い便箋に赤いハート。
その二通の手紙は、
そっと机の引き出しに仕舞った。
(あれ?そう言えば、今月は佐助くん来てないよね?)
ふと、疑問に思ったけど
きっと、忙しいのかな?
それとも、もうアドバイスが必要ないからかな?
なんて、呑気に思いながら……
夕飯を食べに部屋から出た。