第134章 夏の大三角〜あとがき〜
もう一人動き出す。
「悪いね。病室が空くまで、家から通ってくれ」
「いえ、嬉しいです。ありがとうございます」
「に、しても七年か。見違えたよ。綺麗になったね」
「……いっちゃんも、そう言ってくれますかね?」
「ははっ。どうだろうな?相変わらず無口で捻くれてるからな」
「……きっと、ひまりちゃんは今でも真っ直ぐで……」
素敵な女の子
なんでしょうね。
「客間は、家康の部屋の隣だから。好きに使ってくれて構わない」
「何から何まで、ご迷惑を掛けてしまって……」
頭を下げた途端。
サラリと腰元まで伸びた、金色の糸のような長い髪が流れ落ちる。
「遠慮はしないでくれ。短い間だったとは言え……」
君も、二人の幼馴染じゃないか。