第134章 夏の大三角〜あとがき〜
夏休み最後の週。
私は珍しく短パンにTシャツにパーカー姿で、玄関を出る。暑いのに何でパーカー?って最初に思ったけど、政宗曰く必要みたい。念のためリュックの中に、もう一枚上着を入れて背負うと、
「ありがとう!わざわざ、迎えに来てくれて!」
「気にするな。ほら、ちゃんと被れよ」
政宗はポンっとコントロール良く私に胸に向かって、青いヘルメットを投げる。それをキャッチして、私は北海道のお土産が入った紙袋を渡し、頭に装着した。
青の大型バイク。政宗はフルフェイスの黒いヘルメットのシールドをぱかっと開いくと指をクイクイと、後ろに向ける。
乗れってことだよね?
「バイクに乗るの初めて!」
「浮かれて、落ちるなよしっかり掴まってろ」
ブォーンブォーン!
私は返事して、ワクワクしながらバイクにまたがる。どこに掴まろうか悩んでいると……手はここ。と、お腹の所に回され……私は指を前でガッチリと組むと、バイクは一気に走り出す。
険しい山道を凄いスピードで走り、どんどん上がっていく。景色を楽しみながら、まるでアトラクションに乗っているような感覚にきゃあきゃあ騒ぎながら、私はツーリングを楽しんだ。
そして辿り着いた峠の展望台!
ジオラマみたいな街を見下ろして、近くにあった木のベンチに腰掛ける。
「飯にするか!腹減っただろ?」
「ふふっ!もう、ぺこぺこだよ!ごめんね?お弁当まで用意して貰って」
普通なら女子の私が作るのが一般的なんだろうけど、料理の腕は政宗のが断然上手いから。お言葉に甘えて、私は飲み物と、お菓子しか用意していない。
「うわぁ!美味しいそう!いっただきまーす!……んぐっもぐっ」
「お前、相変わらず美味そうに食うな」
「だ、っ…ておいひいもん」
私は具沢山のおにぎりを頬張りながら、コポコポと紙コップにお茶を入れて政宗に渡す。