第133章 夏の大三角〜最終章〜(5)
花火が始まるまでの間。
金魚すくいやリンゴ飴。
射的に、たこ焼き屋さんに……。
夏祭りの定番屋台。
一件、一件見ながら時間を潰す。
「家康!射的して!得意でしょ?」
「どれが欲しいの?」
私は棚の上に並ぶ景品に目移りしながら、子鹿の縫いぐるみをリクエストしようか、おもちゃの指輪をリクエストしようか交互に指をさしながら悩む。
「う〜〜ん。どっちしよう」
「何でそんな極端なわけ?一番大きいヤツと一番小さいヤツだし」
「だって!縫いぐるみは可愛いし!指輪は昔によく取って貰ったから!」
家康はわかったわかった。って、軽い返事をして私の頭をぽんぽん叩くと、お勘定をして銃を選ぶ。家康いわくバネがしっかりしてる銃じゃないと、ダメだって……確か、前に言ってた。
銃を選ぶと三つ渡されたコックの一つを、しっかりと銃のノズルにはめ込み、指輪を見事一発で的中!
「はい!彼氏、上手いね〜」
「え?///……あはは……」
お店の人にはそう見えるみたいで、何て返事したら良いのかわからなくて、とりあえず笑って誤魔化す。
「縫いぐるみは、さすがに一発じゃ無理」
「良いよ!無理しなくても!指輪取って貰ったし!」
「まぁ……取り敢えず、二発あるから」
家康は棚の一番右端っこにある縫いぐるみを下から狙い。まず一発目で左足部分を狙い、更に右端に寄せる。すると、ビクともしなさそうだった縫いぐるみが不安定になって……
三発目。
パンッ!!
「すごーーっい!!」
コロンッ。
縫いぐるみはゆらゆら揺れた後、棚から落ちた。私は思わず拍手して、お店の人から子鹿の縫いぐるみを受け取る。
「商売あがったりだな!良かったな!姉ちゃん!!ちゃんと、後で彼氏にサービスしないとな!」
私は頷くことも出来ず、空返事だけしてはにかんだ。