第133章 夏の大三角〜最終章〜(5)
夏の海風を浴び。
花火大会の会場はごった返し。
屋台は賑わいを見せる。
「全然、進まないし」
進まないのは良いけど。
ひまりにぶつかんないで欲しい。
まぁ……
俺が守れば良いだけだけど。
(いきなり、肩抱いたら……)
驚くか。
それとない理由を考えながら、
その機会を伺う……
フラフラしてたら、迷惑とか?
それだと雰囲気壊れそう。
俺は左手を
動かそうか悩んでた時……
チョンッ。
不意を突かれ。
「……っ!」
驚いて、勢い良く首を動かす。
「す、すぐに迷子になっちゃうから…」
目が合うと、ひまりは恥ずかしそうに
目を泳がせながら……
心細そうな声で、
やばいぐらい、可愛いこと言って……
(な、何なの!///)
ぎゅっ。
絶対、今までならあり得ない。
積極的な行動に、堪らなくなって。
俺は、嬉しくてその手を包み込む。
絶対可愛い顔してるのに。
俯くから見えない……
「ひまり……」
名前を呼ぶと。
俺を見上げる。
「浴衣、似合ってる」
赤くなってんの、わかってるけど。
いつもなら絶対、見られたくないけど。
俺がひまりのこと、見たいし。
「勇気……。気持ちだけ貰っとく」
繋いだ手。
俺は名残惜しい気持ちを残しながら、
そっと離す……
ひまりに、誰も触れて欲しくないから……。
「今日は、こっち」
それを口実にして。
ひまりを腕の中に、閉じ込める。
甘い香りと柔らかい感触に、
目眩を起こしそうになって、心臓が煩く鳴り出す……
「……あんまり、聞かないでよ」
次は、ひまりが驚く番。
心臓の音。凄いの自分でも自覚して俺は気まずくなる。
コクリと頬を赤らめて頷くひまりは……
俺のだけのお姫様に、変わっていた。