第131章 夏の大三角〜最終章〜(3)
次の日。
大人組は、最北目指してレンタカーを走らせて行った後。
私と家康は、二人で宿泊場所から徒歩で行ける小樽周辺の観光地を巡る。石造りの倉庫が並ぶ運河を見ながら、歴史、異国情緒を感じながら、気になったお店屋さんに足を運ぶ。
「夏休み終わったら、部活頑張らないとね!部長さん?」
「副部長がしっかりしてくれたら、俺も色々と助かるけど?」
チロっと私を見て溜息を吐くから、普通に傷付く。拗ねる前に、ちゃんと頑張るもん!と、意気込みだけは見せる。
すると、
さっき溜息吐いたのが嘘みたいに……
「嘘……。期待してる」
優しい重みが頭に降りてくる。
「でも、無理はしなくて良いから」
ドキッ……。
家康はそのまま手を滑らせ、
髪に触れ、
頬を伝い、
肩を撫でて腕まで下ろす。
私が顔を上げた瞬間、
「次、オルゴール。早く、行くよ」
ぎゅっ……。
家康は壊れ物を扱うみたいに手を合わせ、ゆっくり指を絡ませ、でも最後に強く握ると、柔らかく笑って見せてくれた。
勘違いしちゃうよ?
胸の鼓動を打つスピードが速くて、言いたいことや聞きたいことが全部、消えていく。
いつの間に私は、こんなに。
考えても何にも出てこないけど。
(二人っきりになると、何でこんなに優しくなるの……?)
疑問だらけの中、
それだけはわかる。
教えて欲しいこと。
いっぱい増えたのは……。
私が変わったから……?
歩調を合わせてくれる家康。
それとも、私が合わせて……。