第130章 夏の大三角〜最終章〜(2)
どんちゃん騒ぎは放っておいて、俺とひまりは先に温泉に来ていた。
男女隣接した露天風呂。
垣根がしてあるから、見えないけど。
「きれいーーっ!」
声は聞こえる。
「ねぇーそっち人いる?」
「貸切時間だから、いない」
「あ!そっかぁ〜っ!」
ぽちゃん。
ひまりが湯を救い浴びる姿。
想像したらやばいのは、わかってるけど。
(無理、普通に///)
星空見ながら、必死に気を紛らわせる。
「綺麗……」
ひまりも見ているのか今度は控えめな声。
「夏の大三角。よく見えるね……」
「また、言ってる。そんなに好きなわけ?」
「……ううん。好きとか嫌いとかないよ。ただ、気づいたら新学期前にはいつも探してたかな?」
何となく声が泣きそうに聞こえて、心配になって名前を呼べば、すぐに元気な声が返ってくる。
ぽちゃん、ぽちゃん……。
普段なら癒されそうな音が、
今の俺には、落ち着かない。
「ひまり。明日、どこ行きたいの?」
俺は適当に話題作って、
気を紛らわせてんのに。
「……オルゴール館は行きたいかな」
でも、家康と一緒なら……
何処でも嬉しいから。
バシャンッ!
俺の周りで水飛沫があがる。
別に見えてないから、隠す必要ないけど……思わず口元を手で覆う。
(もう、好きって言いたいんだけど///)
「な、なんてね!///えっと、後は〜ガラス工芸でしょ?それと、焼きとうもろこしに!ジャガバターに!」
指を絡ませ、頬を上気する姿を思い浮かべ俺は相槌打つだけで、精一杯。
星空もろくに見ないまま、貸切時間は終了した。
何となく、ぎこちない帰り道。
露天風呂から中に繋がる通路。
「家康……っ。誰かに見られたら///」
「部屋戻ったら、出来ないから」
早く、髪あげて……。
『ヒント』
俺がどれぐらい
ひまりが好きか。
早く、気づきな。