第129章 夏の大三角〜最終章〜(1)
レンタカーに乗り、
暫く走ると札幌市内に入る。
あらかじめ行き先を決め、
順番に観光名所を巡って行く。
中心部に立つ今でも時を刻む、
日本最古の時計塔。
敷地内に四季の花が咲く公園、
赤れんがの建物。
シンボルタワーのテレビ塔を車中から見上げ、また後でライトアップされた所見たい!と、強請ると大人達は何故か笑い声を上げた。
「私、何か変なこと言ったかな?」
隣に座る家康は、
さぁ?と言って特に返答なし。
「言ってないよ。ただ、ひまりちゃんは昔から少しも変わらないなと思って」
運転をしているおじさんは信号待ちになったタイミングで、クルッと首を後ろに回すと、私を見て懐かしそうに目を細める。
「最後に行った東京観光も、タワー見てそうやって言っていたからね」
「えっ///そ、そうでした?」
小学校低学年から変わってないとか。恥ずかしい。
「お陰で昼間行ったのに、夜にわざわざもう一回行った」
態とらしい溜息を吐く家康。
「もう!さっきはそんな事言わなかったのに!」
怒りながら家康をポカポカ叩き、
「ちょ!狭いんだから、暴れないでくれる?」
「家康が意地悪ばっかりするから!悪い!」
私はほっぺを引っ張られ、狭い車内で私達は言い合い。
「相変わらずね。この二人……」
「ふふっ。この旅行で進展♡期待してるわ〜」
母親同士で内緒で計画してるとも知らず私達は……
「いっちゃん!いっちゃん!意地悪いっちゃーーん!」
「ばかひまり!ドジひまり!泣き虫ひまり!」
煩いって怒られながらも、言い合いを続けている間に、宿泊先の小樽に車は到着した。