第21章 「苺のポッキー(3)家康様編」姫主side
そして机に肩肘を付くと、
「俺も食べたい」
意地悪な笑顔を浮かべて、
私が咥えていたポッキーを
チョンと指先で触れた後……
「頂戴。そしたら許してあげるから」
今度は日誌をトントンと叩いた。
弱い所を突かれた私。
でも、ポッキーで許して貰えるなら全然痛くも痒くも無い。
佐助君も、誰かにあげちゃダメとは言ってなかったしね。
私は袋から一本取り出して、それを家康の顔の前に差し出す。
「ん〜んっ(ど〜ぞ)」
「頂きます」
ちゃんと律儀に言う所は、ほんと家康らしい。
やっぱり育ちが良いからかな?
(ポッキー咥えて、日誌書いてる私とは大違い)
なんて、呑気に思った瞬間……
家康が口を開けるのが、
間近に見えて……
ぱくっ。
目の前のポッキーが
一気に半分になって……
ポリッポリッ。
どんどん近づいてくる、家康の顔。
鼻先が触れる寸前……
パキンッ!
お互いの唇がぶつかる
擦れ擦れの所で、ポッキーは割れた。
え……。
「……ご馳走様」
ペロッと舌を出し親指で
口端をなぞる家康。