第21章 「苺のポッキー(3)家康様編」姫主side
時計の針が五時を指す。
カチカチッ。
ポリッポリッ……
(えっと、今日の感想は……っと)
「今日も成績学年トップの徳川君が、授業中居眠りしてました。っと……!」
よし、完成!
日頃の意地悪のお返し。すっごい些細だけど。この日誌を見た織田先生の反応、ちょっと楽しみかも。
(後は、日付と記入者の所に名前を書いて……)
ポリッポリッ……。
一本食べ終わり、
袋からもう一本取り出して咥えた時、
ガラッ!
「誰が居眠りしてたって?」
「!!!」
ドアが開く音と背後から聞こえた声に、肩がビクッと跳ねる。咥えたままのポッキーがポロっと落ちかけて、寸前で歯で受け止めた。
「ふぇんふ!(家康!)」
(何で?まだ、部活中の筈だよね?)
「あのね……何、呑気にお菓子なんか食べて人の悪口書いてるワケ?」
近付いてくる家康を見て、私は急いで手で机の上にある日誌を隠す。
「ふんっんんっ!(見ちゃだめっ!)」
「何言ってるか大体、予想は出来るけど……やっぱりちゃんと喋って欲しいから」
家康は前の席の椅子を引いて、後ろ向きに座る。