第127章 『熱い視線』
『海水浴』
青空みたいな色したパラソルの下。
やっと俺の番が回ってきた。
……にも、関わらず。
「……何、さっきから不貞腐れてるわけ?」
「べ、別に普通だよ…っ!」
体育座りして膝をぎゅっと引き寄せ、海で先に泳ぎに行っている政宗達に視線を向けるひまり。声も心なしか怒ってるし。しかも折角の水着姿。こんな近くにいるのに、完全防備されて全然見れない。
「ほら、海行くよ」
俺はひまりが持ってきたハート柄の浮き輪を膨らませ、軽く頭上にあげ、ひまりの身体にスポッリはめる。
「……き、綺麗なお姉さんと行けばいいでしょ!」
そう言って、プイッと顔を背けたかと思えばいじけたみたいに砂を指で弄り、今度は視線を下に落とすし。
「……は?何の話してんの?」
今度は俺が眉間に皺を寄せる番。
綺麗なお姉さん?
そんなの何処にいた?
「さっき、後で一緒に泳ごうって誘われてたの聞いた……」
もしかして、さっき昼ごはん食べに行った時の話してんの?海の店員にそんな様なことは言われた記憶なら、薄っすらあるけど。
「あんなの、ただのサービス文句」
客への。
そう言っても、他の客には言ってなかったとか、段々小さい声で……
「あ、朝だって、デレデレし…て…たし…」
へ?
思わず口から溢れた、間抜けな声。
唖然とする俺の隣で、肩に掛けたパーカーのフードをポスッと被ったかと思えば……
「ばか……///」
俺の思考がピキーン。と停止。
ようするに、この反応とさっきの台詞は……つまり……
「……………」
何なの。
「……………」
っとに。
(………//////)
可愛い過ぎだし///
「ばーか」
被ってるフードを摘み、多分赤くなってる顔を覗き込む。
すると予想通り目をぎゅっと閉じて、唇を震わせてるひまり。