第127章 『熱い視線』
その頃、家康達は……
「……邪魔、しつこい」
「悪いが、今は興味ない」
「私には、心に決めた方がいますので」
ひまり以外、眼中なしのお年頃男子三人。世の男子が見たら羨むような状況を、まるで虫を払いのけるようにして女達を追い払う。
まさか、少し前の光景をひまりが見て拗ねているとも知らず……
そして、場所取りをしたパラソルの下にシートを敷きそこにボスっと座る。
(暑い……)
海水浴場の砂浜。
波の音と騒がしい声で満ち溢れ、つくづくお盆最終日に来た事を、家康は後悔していた。
「はぁ……」
「それにしても、凄いな」
「やはり、織田先生のプライベートビーチにお邪魔した方が宜しかったのでは?」
三成は特に深い意味を込めた訳ではなかったが、家康の勘に触るには十分な台詞。ニコリとした笑みに鋭い視線が突き刺さる。
(俺だって、最初は悩んだし)
人混みか鬼の住処か。
家康は膝に付いた砂を払い落とすと、ゴロンと寝そべり昨夜かかって来た一本の電話のやりとりを思い出す。
ーー貴様ら、海に行くらしいな。
ーー秀吉先輩に聞いたんですか…?
ーーまぁな。俺のプライベートビーチが近くにある。そっちへ来い。
ーー……遠慮しておきます。
プライベートビーチ。
その横文字に、只ならぬ嫌な予感を察知し断ったのだ。しかし、こうなってくると、話は別。
日に焼けた男の集団が目の前で行き交うのを見て、心配になり携帯を取り出す。
(もう近くまで来てるって、言ってたけど)
着信履歴を見れば、
かれこれ三十分は経っている。
気になって、再ダイヤルをしてみるが何回コールを鳴らしても電話には出なかった。
(探しに行った方が、早いかも)
家康は身体を起こすと、辺りを見回す。