第127章 『熱い視線』
更衣室の中___
「それにしても凄い人だね!」
「お盆休み最終だからじゃない?ファミリーも多いみたいだし」
「筋肉質で色黒も捨てがたい。でも、やっぱり白肌で細身でも引き締まった筋肉が……」
他愛のない会話をしながら着替えるひまりと弓乃の背後で、副部長はブツブツと独り言を呟きながら、清純そうな水着に身を包む。
昨日、悩みに悩んで選んだ、
シンプルな紺色のボーダービキニ。
凛として伸びた背筋、スラリと伸びた脚。ひまり達はやっと着替えを終え、一足先に近くにある姿見でチェックをしていた副部長に、
「モデルさんみたい!凄い似合いますね!良いなぁ〜私も、もうちょっと身長があれば……」
「良い男寄ってきますよ〜きっと!」
素直に褒め感想を述べる。
しかし、副部長は深刻そうにある一点を見つめ、クルッと振り向く。
浮かない表情をしている
理由はただ一つ。
「副部長?どうした……きやぁ!///」
「この胸!ちょっと分けなさいよ〜〜っ!」
唯一、胸がコンプレックスだった。ひまりのはち切れんばかりの豊満な膨らみを、背後から両手で鷲掴みし、周囲の目も気にせず揺さぶる。
「やめて下さいーーっ///」
「私なんかパット一個つめても、この完成度なのよ!」
もはや八つ当たり。
しかし、ひまりはひまりで自分の胸をコンプレックスに感じていた為、必死に身をかがめ……
肩こりはするし!
走りにくいし!
可愛い服はサイズが難しいし!
と、日頃の不満を訴える。
「一個って……私、三個つめてるし」
切実な声で、自分の胸元に視線を落とす弓乃が一番。
コンプレックスを抱えていた。