第127章 『熱い視線』
晴れ晴れとした青空。
潮の香り。
ギラギラとした太陽。
果てしなく続く広い海。
「うわぁ!!綺麗なビーチ!」
海水浴場に着いた、ひまり達は所狭しと並ぶビーチパラソル。若者や家族連れの騒ぎ声、笑い声の中、堤防から家康達の姿を探す。
「あれ?まだかな?さっき電話では着いたって……」
「ねぇ……もしかしてアレじゃない?」
え?どこどこ?
ひまりと弓乃は水着が入っている、クリアバックを肩にしっかり下げると副部長の指の先を追う。
あるパラソルの近くで、一際目立つ集団。眩しいほどのセクシービキニを、存分にひけらかしクネクネと腰を揺らし……
「お姉さん達と遊ばない?」
「日焼け止め、塗ってほしいなぁ」
「一緒に泳ごう〜」
数人の女性が束になって、家康達を囲む光景がそこに。政宗の付近にはお色気ムンムンの熟女美人。三成には同じ年頃のピチピチ女子高生。そして家康の周りには、花盛の女子大生数人。
「私、君がいいなぁ〜」
「ちょ!勝手に触んないでくれる」
中でも一番エロい身体つきをした、黒いビキニ姿の一人の女。ほぼ大事な部分しか隠れていない胸を強調しながら、家康の腕に擦り寄っていた。
(何あれっ!……デレデレして!!)
誰がどう見ても、露骨に不機嫌な態度で腕を振り払っている家康だが、少し離れた場所にいるひまりには表情や状況がはっきり見ることが出来ず、大きな勘違いをする。
ひまりは、ムスッと頬を膨らませ堤防から降りると、家康達に声もかけず、スタスタと更衣室と書かれた案内看板矢印が示す方へと足を動かす。
「へぇ〜ひまりでも、ヤキモチ妬くんだぁ〜」
「ち、違うよ!ほら、早く着替えに行こう!」
弓乃はひまりの意外な一面に、ニシャニシャ笑いながら隣を歩き、
「あの三人放っておいて、良い男見つけるって手もあるわね!」
新しい恋。新しい出逢いにもはや飢えている副部長は、辺りをじっくり見回しながらひまり達の半歩後ろを歩きながら、物色を始める。