第127章 『熱い視線』
そして、私と副部長に
一件の返信メールを見せてくれた。
『見たいけど、見せたくない。……パーカー羽織るように言っといて』
宛名を見れば家康の名前。
「ん?何のこと?パーカー?」
「好きな子知りたいけど、知りたくない。今のひまりとちょっとだけ、似てない?」
「悪いけど、脱がすけどね〜」
顔を見合わせてニヤける二人に挟まれ、私はただただ顎に人差し指を立て、星空を見上げた。
「さぁ!夜通しDVD見るよーっ!」
「まさか!?本気で大量に持ってきてた、韓○ドラマ全部見るの!?」
「当たり前!大丈夫!うちら若いし!皆んなできゅんきゅんするよ!主演俳優が、ちょっと、ちょっと秀吉先輩に似てるから!」
「結局、豊臣くん絡みじゃない。……はぁ」
「はは……っ」
今度は、私と副部長が顔を見合わせてはにかむ番だった。
やっと、ゆっちゃんから解放?された後。
副部長の部屋の窓を、
音を立てないように静かに開ける。
フワリ……
ほんの少し、秋の香りが舞い込んだ気がした。
(家康……もう、寝たかな?)
そして、
携帯の写真アルバム。
そこに保存してある、一枚の写真……
バスの中で気持ち良さそうに眠る
家康の寝顔を見て、笑みがこぼれた。
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(ひまり、さすがにもう寝たかも……)
俺は、携帯に表示された時間を見て
おやすみメールをするか、かれこれ
一時間ぐらい悩んで、画面を消す。
窓を開けると、蒸し暑い湿気を含んだ……
それでも、自分が待ち遠しい所為か。
秋が近づく香りがする。
「ひまりせ、…んぱぁい」
「……ひまり、ぬげ、よ」
(っとに。どんな夢見て……)
はぁ……。
夢でも妬くとか。
ほんと、重症。