第127章 『熱い視線』
私は膝に置いてある手で、タオル生地のショートパンツをくしゃっと握ると、二人に話す。
夏休み前に、家康から自分の気持ちと向き合う、宿題を出されていたこと。
それが出来たら答え合わせして、家康の好きな子教えて貰う約束をしたこと。
「あの時は、まさか……こんな気持ちになるなんて、思ってなくて」
初恋の時とは全然違って、戸惑って……
「今は、ただ一緒に居れるだけで良いって思ってるんだけど///でも、新学期には教え合いっこする約束してて」
でも、幼馴染じゃなくて……
「違う存在として、一緒にいたいような……うぅ…。///もう矛盾ばっかりなのわかってるんだけど」
落ち込んだり、恥ずかしくなったり……
私は今ある感情を上手く言えないまま、口をキュッと結ぶ。
二人はただ静かに話を聞いてくれた。
そして……
(やっぱり///は、恥ずかしい///)
チリンッ。
風鈴が軒下で一度だけ揺れる。
それが合図みたいに口を開いて、
「なるほど。それが徳川のやり方ね」
「不器用かと思ってたけど、割に良い手を使うのね」
え??私は顔を上げて、両隣で感心した様に頷く二人の顔を、交互に見る。
「ひまりにそういう感情。恋ってものを自覚させたくて、そんな宿題を出したわけだ!」
「でないと、いつまでも一方通行だからね〜」
二人の言葉が理解できなくて、私は困った様に眉を下げる。どういう意味?って聞いても、教えてよ〜って頬を膨らませても……
ヨシヨシって頭撫でられて、子供扱い。
でも、二人は最後に……
「何で、その答えを徳川くんが知ってるか。今度はよく、考えてみたら?」
「明日は海水浴でパァーッと遊んでさ!今度の旅行!小樽だっけ?一緒に行くんでしょ?」
私はコクリと頷く。
ピロンッ!
頷くのと同時に、ゆっちゃんの膝に乗っていた携帯が光り……
ゆっちゃんは画面を見た瞬間、吹き出す。