第127章 『熱い視線』
水着を購入した後。
私達三人は同じショップ袋を手荷物に、ショッピングモールの中をプラプラと歩く。
「今、模様替えしようかなぁ〜って、ちょっと悩んでて」
「私、好きだけど?ひまりの部屋。ピンク尽くしで、普通に可愛いしさ!」
「ありがとう!でも、こんなナチュラルインテリアも憧れる!」
購入しようか悩んでいた、ブリキ缶に入ったフェイスグリーン。それを指差しながら、値札をチラ見。
「私の家は和風建築の一軒家だから、ある意味ナチュラルよ?」
白を基調とした優しいテイストの雑貨屋さんの店内。副部長の言葉に私とゆっちゃんは、吹き出すように笑った。
それからも、
可愛いアクセリー屋さんに行って、ピアスを片手に高校卒業したら付けてみたいね!って、盛り上がったり。
他にも、
お気に入りの服屋さん。
CD屋さん。
時間が許す限り私達は、進路のこと。毎週欠かさず見ているドラマの話。学校の話。雑談をしながら、夢中で色んな店を渡り歩いた。
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時計の針が六時過ぎを指した頃。
ちょっと早めに夕飯を済まして、そろそろ副部長の家に泊まりにお邪魔させて貰うことに。
一階に降りると、私とゆっちゃんは
コインロッカーから預けていた荷物を取り出す。
「預けに来た時から、ちょっと気になってたんだけど、ゆっちゃんの鞄!すっごい大きいけど、何が入ってるの?」
まるで、
修学旅行に行くようなボストンバッグ。
それに比べて、
私は必要最低限の荷物が詰め込まれた、トートバック一つ。
最低限って言っても、ルームウェアも明日着る服に、メイク道具が入ったポーチも入っている。
「ふっふっ。それは副部長の家に着いてからの、お楽しみ!ってことで!」
「……豊臣くん絡みのモノとかは、やめてよ」
不気味な笑みを浮かべるゆっちゃんに、すかさず副部長は鋭いツッコミ。
「違いますよ〜。私の愛は鞄には入りきれませんから〜♡」
「ふふっ。秀吉先輩の愛は無限大!って前に言ってたもんね?」
私がそう言ってクスリと笑うと、そうそう!と相槌を打つように、ゆっちゃんは首を動かす。