第127章 『熱い視線』
ある日の夏休み。
女子会という名のお泊まり当日。
「水着を新調しよう!!」
晩御飯を何処に食べに行くか、相談している時。
明日行く海水浴の話もしていると、
突如そんな話になり……
私、ゆっちゃん、副部長の三人で一緒に、大型ショッピングモールを訪れていた。
ちょうどサマーセール時期で、今期新作の水着が半額ぐらいになっていて、私達は思い思いの水着を数着手に取る。
「ちょっと!ひまり!何でそんな露出少ないの、持ってるわけ!」
「え!?子供っぽい?」
「姫は完全に、宝の持ち腐れだね!」
二人は私が手に持っていた数着のワンピースタイプの水着を、パッと奪うと陳列されていたハンガーに戻す。
そして代わりに手に渡されたのが、
白いフリルのビキニ。
淡黄色の花柄で、ヒラヒラのスカート付きビキニ。
あと、黒色の明らかに布面積が足りない、セクシー水着。
とりあえずどれも、ビキニ。
「無理無理むりーっ!///」
店内なのも忘れて私は叫ぶと、ゆっちゃんの胸元に押し返す。
「何言ってんの!男子がバカみたいにひまりの水着姿。楽しみにしてるか……ここから選びなさいっ!」
「どれも恥ずかしいよっ!」
まるで、入学式に出る服をわがまま言ってお母さんに怒られているみたいな気分になる。
誰も私の水着なんか期待してないよ!
と、ゆっちゃんに力説していると……
「もうこの黒色にしておいたら?喜ぶわよ〜と、く、に徳川くんとか?徳川くんとか!」
「何で、家康の名前…?わぁっ!……副部長〜聞いてます!?」
副部長は鏡の前に私を引きずりながら連れて行くと、一着一着身体にあてがうようにして、鼻歌を口づさみ、何故か一番無理な黒いビキニを押され……
「せめて、この花柄にして下さいー!」
そう雄叫びを上げた私。
店内にいた他のお客さんの視線が一斉に突き刺さった。