第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
眼下に美しく広がる夜景。
その光には、俺の目は見向きもしない。
このまま見てたら頭がおかしくなるかと思うぐらい。高校生のあどけなさをまだ微かに残しながら、それでも確実に女の子から女性に変貌を遂げるひまりに……
(俺は、もっと虜にされる)
一人、心中でそう確信すると……
「まだ、半分あるし。次はどこ行きたい?」
柵の前に立つひまりの背後に周り、木の柵に両手をつくと動けないように閉じ込めた。
「……う〜ん。一緒に居れたら何処でも、嬉しいかな?」
「自分から迷子になって、良く言うね」
「うっ。……なら!花火みたい!小樽で見た時みたいに、二人で浴衣着て」
「なら、来週。ちょっと遠出して見に行こ」
俺がそう言うと。
本当?いいの?
自分でリクエストしときながら、顔だけ後ろに向けて、いじらしく見上げるひまり。その何気無い仕草一つに、俺の胸は未だに反応。
(どうせ、言っても。そんな風に見えないよ?って信じないだろうけど)
鳴り出す鼓動の音を聞かれないように、耳元よりの頬に手を添え……
「来年。もうちょっと背伸びして、小樽の花火も連れてってあげるから」
俺の目尻が無意識に緩む。
高校の時は、逆立ちしてもそんな台詞言えなかったし。
「ふふっ。なら、私ももっと頑張らないとね?」
家康に、いっぱい可愛いって思って欲しいから。
腕の中で咲いた花。
意図も簡単に俺の心臓を、持って行くからほんと困る。
「……あんま可愛いこと言うと。今すぐ、食べるよ」
ちょっと狭いけど。
冗談ぽい本気を耳元で囁くように言って、笑みを口角に浮かべる。
車で来た本来の理由。
このお姫様には予想出来なかっただろうけど。
「今日はご褒美じゃなくて、お仕置き」
俺は掠めるように、唇を合わせ。
ポケットから車の鍵を取り出すと、ひまりの目の前にぶら下げ……
そして、
「え?………きゃぁ……///」
キョトンと戸惑うひまりの膝裏に、手を忍び込ませ持ち上げる。
「まだ、ちょっとしか夜景見てない〜〜っ///」
「大丈夫。車中からでも見えるように、してあげるから」
横抱きして、夜景に背中を向けた。