第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
大小さまざまな魚達がゆったりと頭上を泳ぎ、色んな角度から見える。
私達は手を繋いだまま、同じ高さのエスカレーターの段に乗りトンネルの中を潜る。
まるで海底に沈んでくように、
下っていくエスカレーター。
反射する光。
まるでダンスをするように魚の列。光のラインに沿って、輪になりながらゆったり、ゆらゆらと回り……
まるで日常からかけはなれた
夢幻想な世界に入り込んだみたい。
「うわぁ!水中を散歩してるみたい!」
もう、すっかり綺麗さっぱり今までのことが抜け落ちた私は、上機嫌で首を180度に動かす。
「その笑顔が見たいから、俺も背伸びしてるんだけど」
「え?…………」
私は、身体ごと家康の方に振り返る。
すると、思った以上に至近距離に家康の顔があって……
「狭い所で、いきなり振り向かないの」
家康は優しい声で嗜めた後、顔をちょっぴり後ろに引く。そして少しバツ悪そうに横目を向いたまま、繋いでいない方の手で、私の頬をふにっ。と掴んだ。
そして、軽く横に引っ張りながら……
「このカップル限定の体験コーナー予約して、夕暮れ見に海誘って、ご飯食べて夜景……俺なりに、かなり背伸びしてるのわかんない?」
「ひえやふが……へのひ…?」
家康が背伸び?
何を言われてるのか、一瞬わからなくて。ポカンと私の口が開く。だって、家康だよ?サラって表情変えずに、何でもこなしちゃう家康だよ?
「ひまりを喜ばすのに、こっちは必死だし。それに、紹介したくないのは……」
その理由を聞いて。
更に間抜けな顔をした私。
「何、言わせんの……ほんとに///」
久々に真っ赤になって、抗議するようにジロリと私を見る家康。
だから、つい嬉しくて……
内緒話するみたいに、
耳元に手をあてて……
「やっぱり、一緒にいる時間が……」
一番、幸せだよ。
同じぐらい赤面した私。
オーシャンブルーの明かりが、少しでも誤魔化してくれると良いな。
長くて、短い。
半分こした時間。
「先に言っとくけど、今日はお仕置きだから」
泡になって消えないでよ。
俺の心臓、全部あげるから。
最後に貰った、王子様のキスは……
ご褒美じゃない?みたい。