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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)




高校生の時と、今は違う。
こうやって、我儘言っても家康は絶対に受け止めてくれるって、知ってるから。

携帯で繋がらなくても、絶対に探してくれるって、わかってるから。


「……………」


「ご、め……んなさい」



背中に回された手が強く引き寄せられた時に、溢れた素直な言葉。ちゃんと直接聞けなかった自分が、一番嫌だった。堂々と出来ない自分が、一番……。


家康はピッタリと寄り縋る私の身体を、少し離して後ろに押す。少し出来た隙間。その空間が寂しくて、顔を上げると……

ばーか。

声には出さず、口パクでそう言って……

背中に回した手を片方だけ前に持ってくる。




「それ以上泣くと、崩れるよ」




泣き顔も好きだけど。




「俺の為に、頑張ったんでしょ?」




コクッと頷けば、ゴシゴシじゃなくて人差し指で私の目尻を軽く押して、掬うように涙を落としてくれる。


涙に覆われて

ほのかに見えなかった

家康の表情が……


はっきり見える。


海の世界を背景に微笑する家康は、目が開けていられないぐらい、眩しくて格好良くて……。


何にも言えなくなる。



「……ずるい」



吸い寄せられるように、
また腕の中に戻ると……




「今度は俺の番」




腕を引かれ奥へと足を進めると、イルカ達の姿が消えて、今度はぐるりと180度色々な魚の群れが泳ぎ回るトンネルの世界に。

魚だけじゃなくてエイやカメが目の前をブワッと通り……



「綺麗。……これ、確かアクアチューブだよね?」


思わずその神秘的な光景に魅入って、立ち止まる。



「ここからは、シンデレラじゃなくて人魚姫になって貰うから」



家康は王子様みたいに、お手をどうぞ。と、冗談ぽく言って顔の近くで手を差し出す。すっかり気持ちが落ち着いた私は、クスリと笑ってそこに自分の手を置き、フットライトの明かりを頼りに、エスカレーターに足を乗せた。


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