第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
でも、青い光を放つ薄暗い館内のお陰で、白いワンピースと、白いパンプスは綺麗なオーシャンブルーに染まってて……
「「ほら、早く行こう!」」
二人が新館っていう名前の、迷子センターまで引っ張ってくれたお陰で……
今頃、友達に冷やかされて目元を赤く染めた。海の王子様と迷子のイルカには、何とか逢えそうかな?
カツンと鳴り響く、パンプスの踵。
今は軽快な音を立てて、ある場所に向かって一歩、一歩進む。
ーー多分、大人になってもひまりは、迷子になる。
高校生の時はご褒美貰えたけど……
今日はお仕置きかな?
新館入り口に、家康は居なくて。
ただ、係員のバイトをしている男の人に、私は奥の通路まで案内された。
「待っている間、体験コーナーに行っても良いぜ」
特別に中に入れて貰えた、ユウタ君とひまりちゃん。二人は嬉しそうに仲良く手を繋いで、魚に直接触れる事が出来る水槽に走って行く。
「あ、あの……家康は?」
「この扉の向こうで、落し物預かってる。ったく、予約時間は変更させるし、館内放送は流させるしよ」
男の人は愚痴をこぼしながら、時計の時間を確認すると……大きな白い扉を開く。
「後で君のこと、じっくり紹介して貰うよ。では、十分間。海中世界の旅を……」
まるで遊園地に行ったみたい。
アトラクションを案内するような台詞に、背中を押され……
私は
全面
オーシャンブルーの
空間。
白いパンプスで
足を入れた瞬間。
迷子になってたイルカ。
大きくなって、頭上を泳ぐ。
その光景に、
思わず涙が浮かびそうに
なった時だったかな……。
「……ひまりは、シンデレラなの?それとも、人魚姫なの?」
ほんと、困るんだけど。
海の王子様に、
やっと見つけて貰った。