第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
そんな私の様子を見て、何事かと言うようにベンチ降りる二人。
「どうしよう…っ。大事な物なのに……っ!」
探しにいかないと!
私は身振り手振りを使って、二人に事情を説明する。
「え?お姉ちゃんのイルカさんも、迷子なの?」
「あの時と一緒だ!今度は、ぬいぐるみじゃないけど!」
「ごめんね!急いで、取りに行って来るね!」
新館の入場チケットは、鞄の中。
再入場出来るか少し心配だけど、落し物があるかもしれないと伝えれば、もしかしたら入れて貰えるかもしれない。
そう思い、
新館に戻ろうとした時だった。
絶妙なタイミング流れた、館内放送。
私が迷子になって、二時間弱。
海に一緒に行こうと約束した頃の時間……。
係員さんの声。
私の記憶では決まっていつもは、
落ち着いた柔らかい女性の声だった。
でも、
「白いワンピースを着た……っておい!ちょっ……」
キーンッと耳鳴りの音。
乱れた放送。
焦ったような男性の声。
周りの人も、異変に気付いてざわつく。
そして、
「迷子の呼び出しと、落し物連絡。白いワンピース着て、イルカのストラップ落として……すぐ勘違いする困ったお姫様。……新館まで、今すぐ来て」
プツッ。
携帯を持ってるから、すっかり安心してた。
まさか、大学生にもなって…ね。
「え?今の館内放送。何か変じゃなかった?」
「白のワンピース着た、お姫様?」
(家康のばか……///恥ずかしくて、行けないよ///)
もう、嬉しいとか、怒りとか、呆れるとか……全部通り越して、とにかく恥ずかしい。自分でもわかるぐらい、熱が昇る頬を押さえて顔を手で隠す。