第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
幸せな時間。
手を繋いで歩いて。
お昼ご飯食べながら、帰りに海に寄る約束して、暗くなったら夜景見に行く約束もして……
あっという間の時間。
でも、それは……
沢山笑って楽しかったから。
オープンしたばかりの新館。
そこは小さな子で溢れていて、家族づれが大半を占めていた体験コーナー。
嬉しそうにナマコやヒトデ、ヤドカリやミドリガメに触れる子供達の姿を、私達は背後から眺めた。その中でも、特に人気だったのはナマコ。
「気持ち悪いーーっ!」
「うわぁーー柔らかぁい!」
賛否両論、意見がわかれながらも皆んな笑顔でナマコを素手で掴み、大はしゃぎ。
「あ!家康!私、アレやりたい!」
私は、あるコーナーを見つけてクイクイと、繋いだ手を引っ張る。
「ドクターフィッシュ?」
「前にショッピングモールでやってたんだけど、凄い行列で断念しちゃって!」
興味があったんだ!そう言いながら、私は返事待たずに家康の腕を引っ張り、その体験が出来る水槽に移動する。
小さな黒っぽい魚が、何千匹も入った浅い水槽。私は、ちょっと戸惑いながら、ゆっくり手を中に入れ……
「きゃ……く、すぐったい」
入れた右手に魚が無数に群がり、啄ばむようにつんつん。痛くはないけど、予想以上だった不思議な感覚に耐え切れなくなって、私は身を捩りながら手を出す。
「これで、お肌ツルツルになるかな?家康はしないの?」
「……興味ない」
「ふふっ。未来のドクターが問題発言!」
「角質を安全に除去して刺激を与え、神経を活性化し健康効果あり。その知識だけあれば問題ない。それより……」
家康は私の鞄をヒョイと持つ。
「一応、礼だけ言ってくる」
何でもこの新館付きのチケットを手配してくれた人が、この館内にいるみたいで……
(そう言えば、ゼミが一緒の人がバイトしてるって……)
言ってたような?
「私も!一緒に……」
「すぐ、戻ってくるから」
その間に手を洗ってくるように言われて……。
私もお礼を言いたかったのに、断られちゃって。
渋々、手洗い場へ。
今度はちゃんと携帯だけ持って……
迷子にならないように……
したんだけど。