第19章 「苺のポッキー(1)家康様編」姫主side
(好きな子いるなんて初めて聞いた)
いくら幼馴染でも、知らないことぐらいあるよね。
そう、解ってはいても……
私なりに大事な事は、
何でも話してるつもりだったから
……正直、ちょっとショックで。
やっぱり異性だし、家康も言いにくいのかな?
私が、聞きにくいように。
何だか部活が行きにくくて、つい時間掛けちゃったけど。
早く終わらせないとね!
(そうだ!!)
集中力アップには、チョコレート!
私は佐助君に貰ったポッキー思い出して、鞄から取り出す。
念のため、パッケージを裏表ひっくり返す。
どう見ても、普通に市販で売っている定番のポッキー。
四角いピンクの箱。
クッキーの先がハート型になってる、春限定商品。
ペリペリと箱を開ける音を誰もいない教室に響かせながら、私はパクッと一本頬張る。
(ん〜♪確かに甘酸っぱい)
糖分が身体中に染み込み、いい具合にやる気を出してくれる。佐助君がコレをくれた理由は謎だけど、食べれば良いみたいだし。
行儀が悪いとは思いつつ口にポッキーを咥えたまま、カチカチっと芯を出してからシャーペンを動かし始めた。