第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
扉を開けると……。
家の前に横付けされた一台の車。
初めてのシュチュエーション。
だからかな……(緊張するのは?)
私は転けないように気をつけながら、
フェンスを開ける。
車に寄りかかる一つの影。
そして、
家康が広げる
両手の中に飛び込んだ。
いつもは腰元。
でも、今日は首元に
腕が回る……
顔を上げれば
「……おはよ」
優しい声が降りてくる。
目を軽く閉じて、
いつもみたいに背伸びしなくても……
ほんの少し踵を上げれば……
計画成功?
まさかの不意打ちのキス。瞼を持ち上げて少し離れると家康は驚いたように目を見開いた後、目元を赤く染める。
普段、私からなんて滅多にしないから。いっつもドキドキさせられて、悔しいから。と……久しぶりに逢えて、嬉しかったから。
家康は、顔の筋肉を緩めて……
「何?まさか、仕返しのつもり?」
「ふふっ。いっつも私ばっかり、ドキドキさせられるから」
いつもと違う高さの目線。
クスリと笑いながら拳を作った右手を口元にあてると、その手を掴まれて……
「……綺麗で可愛いとか、ほんと最強」
「えっ……///」
一瞬、耳元を掠めた吐息のような声。
家康の久しぶりの甘い台詞に、それだけで頬が熱くなる。
なのに、もっと熱くさせるような激しいキスが降りてきて……逢えなかった時間。決して言葉を交わすだけでは伝わらない想い。それが込められたように息する暇もなく降り注ぐ。
「……んっ…こ、こ……」
外だよ。って言いたいのに……
(当分、ご近所のネタになるわね)
一部始終こっそり見ていたお母さんに気づかないまま、私が崩れ落ちると、車は水族館へと走り出した。