第124章 『oceanブルーの横顔』(高2の夏)
迷子になった私達と、
ピンク色のイルカのぬいぐるみ。
「「あ!!」」
三十分後。
迷子センターで、
それぞれの王子様に逢えて……
「お兄ちゃん!良かったね!お姫様に逢えて!」
「ちょ、なに言って……///」
男の子の口を慌てて塞ぐ家康。
「おねぇたんのう、みのおうじたま〜」
「えっ…と…///そ、それはシーッね!」
女の子の小さな口に人差し指を立てる私。
「孫がお世話になったようで、ありがとうございました」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!」
「ばいば〜い!」
ピンク色のイルカのぬいぐるみとオーシャンブルー色のイルカのぬいぐるみ。
まるでキスをするみたいに再会を喜んで、小さな背中と一緒に遠ざかって行く。
「可愛かったね」
「……まぁね。それより、お腹減った」
すっかり、お昼ご飯を食べそびれた私達。時刻はもう三時過ぎになっていた。迷子になった経緯と、二人に出逢った話をお互いしながら飲食店で、食事をする。
「お姉ちゃんがずっと欲しかったけど、今日で妹が欲しくなっちゃった!」
「……迷子になった癖に、よく言うね」
カウンター席に座った私達は、必然的に横並びに。水槽の前に居た時は、本当に海の王子様みたいに見えて。文句なしに素敵だった横顔。
今は、
「大人になってもひまりは、迷子になる」
確信した声で意地悪に笑う、いつもの家康の横顔がすぐ隣にあった。