第124章 『oceanブルーの横顔』(高2の夏)
白いワンピース。
私と同じように片編み込みして、大きな瞳からポロポロと大粒の涙を流す、女の子。
「おにぃちゃ…ん……イルカしゃん」
すっかり自分が迷子なのを忘れて水槽を夢中で眺めていた私の隣で、小さな肩を落としグッスンと泣き出した。私は、気がつけば声を掛けていた。
どうやら、一緒に来た小学生のお兄ちゃんとぬいぐるみを探している間に、はぐれたみたいで……。
「イルカしゃん…おにぃちゃんと、おそろいなの。だ、から……っひっく」
さっきの館内放送で流れた迷子の女の子と目の前にいる女の子が、服装、年齢、名前が一致。
真っ先に迷子センターに、連れて行こうとしたんだけど、どうしても、先にイルカのぬいぐるみを探しに行きたいと言われて。
私は小さな紅葉みたいな手を、自分の右手に包み込む。
「白のワンピースと髪型もお揃いだね!」
「おねぇたんもまいご、なの?」
「う、うん。大きいのに恥ずかしいけど、ね?」
そこも一緒!
私は笑顔で答える。
情けないと自分でも思いながら、女の子に打ち明けた。すると、女の子はパチパチとつぶらな瞳を瞬きして、ふわっと笑ってくれて……
その笑顔に胸がきゅーん。ってなる。
「よーし!早く、イルカさん探してお兄ちゃんの所に行こう!」
「うん!」
オーシャンブルーに照らされ、水槽に映ったデコボコな大きさの私達。
お揃いのワンピース。
周りから人達から見たら、年の離れた姉妹に見えたかもしれない。
「おねぇたんは、だれときたの?」
「ん?私はねぇ〜……」
横顔の素敵な、
海の王子様……かな?