第124章 『oceanブルーの横顔』(高2の夏)
それから……
水槽を優雅に泳ぐ白黒のシャチ。
横ばいで転がるように歩くアザラシ。
神秘的な深海魚、ゆっくり泳ぐ亀や、マンボウ。
氷でできたこじんまりした山をヨチヨチ登り、一気に水中に飛び込むペンギンを見て、思わず私が三成くんみたい!って言うと、家康にどこが?って聞かれて説明したりして一通り、館内を回り終えた。
「あ!もうすぐイルカショー始まっちゃう!」
急いで会場に行くと、スタジアムの席は既にショーを待ち望む観客で埋まっていた。けど、ショーの席付きチケットを購入していた私達は、優待席場所と案内が書いてある席に向かう。
「……最悪。最前列しか空いてないとか」
「え?ダメなの?近くで見れてラッキーなのに?」
私がそう尋ねると、家康はあれ。と、ある先を指差す。すると、そこには注意書きの看板が。
「最前列のお客様は水がかかるおそれがありますので、ご注意下さい。……でも!かかるおそれ、って書いてあるし大丈夫だよ!」
「……はぁ。この距離なら間違いなくかかるけど?」
でも見た所、他に空席は見当たらない。だからって、一番楽しみにしていたイルカショーを諦めるのは辛い。
明らかに顔が嫌がっている家康に、無理維持はしたくない。でも、私は駄目元で一度お願いだけしてみる。
「どうしても、だめ?すっごい、楽しみにしてたんだけど、やっぱりだめ?」
首を左右に傾げて、家康に詰め寄り…
「……っ!」
「濡れてもすぐに乾くし、家康と一緒に近くでイルカ見たい……っ」
両手を組み、上目遣いでお願いをする。
「はぁ///……わかった」
家康は、降参。って、ボソッと呟くと恨めしそうに私を横目で見て……
「どこでそんな技覚えて……。俺、以外にしないでよ」
???