第124章 『oceanブルーの横顔』(高2の夏)
am8:00
「初恋」と「恋」
二つの違い。
違うのは何となくわかるんだけど。
でも、はっきり何が違うの?って聞かれても、恋愛初心者の私にはまだ全然わからなくて……。
だから!
だから!
意識して、初めてのデート!
何を着ていけば良いのか
(全然、わかんないよーっ!)
洋服で山積みになったベットの上。
家康が迎えに来てくれる一時間前。
鏡の前で、朝からファンショーみたいに何度も着替えて、葛藤している私。
昨夜、ゆっちゃんに
「男の子って、
どんな服装が好きかな?」
って相談したら。もう話が本題からズレちゃって根掘り葉掘り……。
結局、アドバイス貰う前に通話終了。
こういう時にお姉ちゃんが居たら、きっと心強いんだろうなぁ。なんて、溜息吐きながら悩んでいる内に、時間だけが過ぎていく。
カクンッ。と項垂れた時、視界にはいったピンク色のショップ袋。
(あっ!)
机の下にちょこんと置かれた袋。
前にお気に入りのショップで買った、白いレースのワンピース。
大会前に買って、すっかり存在を忘れていた私は急いで取り出し、着替える。
館内の冷房施設に、キャミワンピ姿だけでは肌寒い気がしてその上に紺色のパーカーを羽織り、マリンテイストで統一する。
急いで髪の毛を片編み込みして、そこに三つ葉のヘアピン。
仕上げに、撮影で貰ったベビーピンクのリップを塗って準備完了!
「あら?可愛いじゃない!」
今度は玄関先で靴を悩んでいると、
背後からお母さんの声。
「スニーカーだと、子供っぽいかな?」
市外の水族館。
必然的に電車移動が多くなる。なるべく疲れない靴の方が良いのはわかっていても、オシャレも大事にしたい年頃で……
白のキャンパススニーカー。
じっーと、見る。
(折角なら、少しでも可愛いって。思って欲しい…し…///……)
すると、お母さんが下駄箱から
白いパンプスを出してくれて……
「ちょっと、背伸びしてみる?」
暫く悩んだ後……
「行ってきまーす!」
今の私らしくスニーカーを履いて、
玄関の扉を開けた。