第122章 夏の大三角(23)大会編
ザァッー……。
喫煙所から、
ガラス越しで見える待合室。
会話は聞こえなくとも二人の表情は、微笑ましいもので、細く笑みを浮かべる。そして、白衣のポケットから仕事用のピッチではなく、私用の携帯を取り出すと……
灰皿の中に煙草を押し付け、
コールを鳴らす。
「もしもーし?」
「……今夜は早く上がるよ。家康が病院に来ててね。打ち上げ場所まで送り届けてから帰る」
「病院!?もしかして、大会で怪我でも??」
「大したことない。帰ったら話す。それより……」
息子がお姫様を。
「あらぁ〜。やっと?」
なら、ちょっとお世話焼いちゃおうかしら?
ピピピッ……。
「すまない。呼び出しが入った。八時前には帰るから」
自動扉から中に入り、家康とひまりに駐車場に行っているように伝えると、ナースセンターに向かう。
「院長。白鳥さんという方からお電話です。今、外線で回します」
受付カウンターに備えられた電話の受話器を上げ……
「……どうも、ご無沙汰しています。……はい、はい。……そう、ですか……あれから七年……」
電話を切り、ナースに個室部屋の空室状況を確認した後。……駐車場へと降りて行く。