第122章 夏の大三角(23)大会編
「だ、だって///そ、の///家康が、嫌かなって思って……っ」
そんな訳ないし。
こっちが突っ込みたいこと山ほどあるのにも、関わらず。どこにするとは約束してないとか、頬っぺたでも火が出るぐらい恥ずかしかったとか……言い訳ばっかして。
そんなの知らないし。
ムスッとしながら、
「……やり直し」
「無理、むり、むりーーっ!///今ので、今日一日分の勇気使ったから
っ!」
催促すると、ひまりは逃げようと必死に頭を後ろに反らして、俺は後頭部を掴んで、引き寄せる。
完全に綱引き状態。
「ひまりの鈍感。本物のバカ」
「家康の意地悪!バカじゃないもん!」
「っとに。小鳥みたいにすぐ、ぴーちく泣くし」
「最近はそんなに泣いてないもん!」
結局、束の間の甘い雰囲気はすぐ何処かに消えて、俺たちは幼馴染に戻る……かと、思ったけど。
サァッー……。
「……ヒント……欲しい」
家康の好きな子のヒント。
教えて。
急に静かになったかと思えば、またすぐに爆弾落として。
俺を振り回す。
「……一番のヒント。教えてあげる」
昨日、付けた赤い印。
そこにまた、口付けして……
より一層、紅く染める。
幼馴染ごっこは、終了。
夏休み中。
恋人ごっこが始まる。
幼馴染以上、恋人未満。
この十割近づいたお姫様に
まだ、片思い中。
四六時中……
俺のことで頭が一杯になるまで、は。
「この印、夏休みの間。消さないから」
キスをお預けされた代わり。
首筋に手を添えて、
コクリと頷くひまり。
あんなに面倒だった新学期。
十六年間で、一番の想い出になるかも。