第121章 夏の大三角(22)大会編
袴の裾が一歩踏み出す度に、揺れる。
始まりは……
あの手紙から何気なく始めた。
運命の人探し。
「貴方はある、戦国武将の姫君に選ばれました」
差出人不明。
意味も不明。
最初は半信半疑だったけど、佐助くんが色々アドバイスしてくれる内に、戦国武将の六人を意識して、見るようになって……
誰が選んでくれたのかな?
六人の中に、運命の人がいるのかな?
運命の人。
その言葉に、つい浮かれちゃって。
さあっと雨の流れる音に近づいた時。
私の足が止まった。
駐車場に繋がる自動扉の前。
あと一歩踏み出せば、外に繋がる。
ーーその時に、全てお話します。
三成くんはあの手紙のこと。
知っているみたいだった。
差出人かもしれない。
もしかしたら、私の運命の人……
……かもしれない。
「ある戦国武将は、貴方を求めて止まらない」
知りたい。
でも、どうしてかな?
……同じぐらい知りたくない。
(だって、私は………)
開いた自動扉。
ザァッー……。
入り口に横付けされた、赤い車。