第119章 夏の大三角(20)大会編
(何で三成が、知ってんの)
家康は少し引っかかったが、その表情からしてチョッカイを出した訳では無さそうだ。
そう確信して、特に根掘り葉掘り問いただす事はせず、その特別観覧席に視線を向ける。
射場から真っ直ぐ伸びた的。
そこから右側の壁端に、数人の立ち見席がある。ギャラリーは二階に設置され見下ろす形になるが、その特別観覧席からは、弓手の姿をほぼ正面から見ることが可能。
主に、テレビ局や弓道関係者等に設けられた場所。
一般人や応援客は部員であろうと、立ち入ることが出来ないが、信長の権力で戦国学園の部員が立ち入り許可が降りている。
(まだ、居ない)
恐らく、女子部員の応援をギリギリまでして此方に移動するつもりだろう。家康はそう思い、視線を射場に戻した。
審判の合図に、まず一組目。
秀吉、政宗を含む他校の五人が名前を呼ばれ、礼をすると擦り足で前進し、各的へと向きを変える。
ここで一旦坐って浅い礼。
この時並んだ位置を本座という。
立ち上がり、
矢を射る位置まで進み立射して矢を番えた。
決勝にいけるのは、上位四名。
二十人の内、まず五人ずつ試合を行い。
四本の矢の的中数を競う。
各組みの一位。
その者が決勝戦の出場を手にする。
そして、ひまりが不在の中。
試合は開始。
信長と光秀、信玄は本部席に移動すると
静かに弓構えをする生徒に、目を向けた。