第119章 夏の大三角(20)大会編
午後から開始された個人戦。
観客席は更に一般、応援、生徒で埋め尽くされ、一つも空席が見当たらないほど賑わいを見せていた。
予選を通過した二十人の男子選手(射手)が、会場に現れる。
すると、
「きゃーっ!!」
「やばい、やばいーーっ!イケメン揃いすぎっ!!」
「戦国学園と春日山高校の顔面偏差値レベル高すぎ!!!」
ギャラリーの七割は、女子と言っても過言ではない。既に他校まで名と顔を知られる程、有名になっていた。
戦国学園、秀吉、家康、政宗、三成。
春日山高校、謙信、幸村。
十代の少女達のお目当て。
顧問の信長、副顧問の光秀。
そして、春日山高校の顧問の武田信玄。
二十代、三十代から絶大な人気を得ていた。
黄色い声援が飛び交う中、射場にいる家康はしかめ面を浮かべる。
「……煩すぎ」
「わざわざ会場まで足を運んで、応援に来てくれたんだ。試合が始まるまで、我慢しろ」
秀吉が嗜める側で、謙信は豆粒サイズにしか見えない観客の中から目を凝らし、ひまりの姿を探していた。しかし、何処にも見当たらず幸村に今すぐ連れて来いと、無理難題を押し付けた。
「俺の勇姿を見せ、益々惚れ直させてやる」
「……あんた、救いようのない馬鹿?」
まず、惚れてないから。
鋭い家康の突っ込み。
試合が始まる前から早速、衝突を始めた二人。
幸村は渋々間に入り、
「対戦前からいがみ合うなって!それより、ひまりは女子の応援でも行ってんのか?」
火花が散る前に二人の間に立つと、ひまりの消息を訪ねる。しかし、その場に居た戦国学園の三人は、口々に知らないと答え、
「ひまり先輩は、特別観覧席で見るからと言っていました」
昼前にひまりと会っていた三成が、唯一その情報を得ていた。
しかし、表情は浮かない。