第118章 夏の大三角(19)大会編
雨が降り出す、少し前___
「チッ!マジでムカつくぜ!」
男は苛立ちを隠さず
近くに落ちていたスプレー缶を
蹴り飛ばす。
「おっ?ソレ使えんじゃねえか?」
弓道着姿の男が三人。
普段使われない、小狭い倉庫の中。
古い埃まみれのマットを、
まるで寝心地を確かめるように
軽く踏み……
倒れるように座り込んだ。
一人の男は跳び箱の上に乗り、
蒸し暑い空間に上胴着の襟元を掴み、
パタパタと扇ぐ。
男達は、ニヤリ笑い
ある計画を立て終わると……
「どうせ、俺らは今日で引退だ」
さっき蹴り飛ばした缶を、拾い……
嫌な笑い声を響かせた。