第117章 夏の大三角(18)大会編
今日の大会はきっと特別になる。
私はそんな予感がしていた。
バスを降りて空を見上げると、蒸し蒸しとした夏の暑さと、湿った風が肌に粘りつくように流れる。
これは雨が降る前の風。
朝見たテレビで天気予報士さんが、夕立があるかもしれない。って言ってたのを思い出して……
今日は降らないで欲しい。
今日で引退する先輩達の表情が見たことの無いぐらい、凜としていてそう願わずにはいられなかった。
(三成くんに謝らないと!)
バスを降りてすぐ。
私は三成くんの姿を探した。
首を左右に動かして、後ろを振り返ったり、背伸びして玄関に向かう集団の中に居ないか、確認していると……
「久しぶりだな」
声を掛けられて。
気づいたら……
「早く、胴着に着替えて来い。後で、脱がせてやる」
(誰か助けてーーっ!!)
謙信さんに、腕を掴まれて身動きが取れなくなっていた。