第117章 夏の大三角(18)大会編
結局、最後は三成に後で聞けば良いとか自己解決して、今は大会に集中とか言って……張り切ってんの想像出来る。
ふと、ミラー越しに視線を感じてチラリと横を向くと、ニヤリと嫌な笑みがそこに映った。
「……何か言いたげにこっち見るの。止めてくれない?」
運転中なら、目上の者には敬語使え!
って、拳骨飛んでこないと思い、サラリと言う。
「フンッ。貴様が、あまりにも間抜けな面を浮かべておるからな」
代わりに嫌味は飛んでき……
っ!!
ブーンッーー……!
「ちょ!スピード出し過ぎ!!」
いきなり急加速を始めた車。
俺と政宗はガンッ!!と、シートに背中をぶつけ咄嗟に、手摺に手を絡ませる。
「目上の者に対しての言葉遣い。何度忠告しても、学ばぬようだからな。身体で覚えさせてやる」
鬼は、更にアクセルを踏み込む。
「はぁ!!ってか!前!前!」
「すげえな。前の車、親切に退いてやがる」
目まぐるしく流れる景色。
車内は暴れたように揺れ……
(き、気持ち悪っ……)
ピロンッ。
口元を押さえかけた時。
一件のメールを見て……
(こんな時に。…………っ!!!)
俺は違う意味で、顔が真っ青になり……
「もっと、速度上げて!!」
助手席のシートにしがみ付き、声を張り上げた。
「おい、家康。流石にこれ以上は、やばいんじゃねえか?」
「それが、俺に頼みごとをする態度か?」
「一刻も早くお願いします!!」
「フンッ。手のかかる奴だ」
ブォンブォーーーーッン!!
『やべー!謙信先輩が、会場に着いて速攻!ひまり見つけて……とにかく、早く来い!!』
幸村に返信するよりも先に、
俺達は試合会場に到着した。