第17章 卯の花月(5)
「おい!」
突然背後から肩を叩かれ、振り返るとそこには政宗の姿が。
「おはよ!政宗!ご、ごめん邪魔だよね!」
ドアの前に立って居た私は、慌てて中に入る。ぼっーとしてどうしたのかと聞かれ、軽く頭を横に振り何でもないと答える。
「そう言えば、さっき下駄箱の前で三成と家康が睨み合ってたぞ」
「え?そうなの?さっき、一緒に居たけど……」
特に喧嘩なんかしてなかったよね?
「まぁ、彼奴らは普段からあぁだけどな」
そうなの?と首を傾げると政宗に、相変わらずだなと頭を小突かれる。
それより、と言って政宗は私の机の上に紙袋を一つ乗せた。何これ?と尋ねると、今度店に出す新作のスイーツみたいで。
「一足先に味見させてやる。後で、感想聞かせろよ?」
「ありがとう!嬉しい!今日のお昼休みに食べるね!」
私は紙袋を抱き締め、笑う。
これで、三成君とのデートは無くなりそうかな?
「石田三成」
「伊達政宗」
戦国武将と同じ名前の六人は、確かに私の身近に居て……側にいてくれる。
五百年前のお姫様も
こんな風に戦国武将に囲まれて
……戦国時代を過ごして居たのかな?
(佐助君、言い伝えが関係してるって確か言ってたよね?)
私が知っているジンクスとは、何だか違うみたいだし。
一度、石碑に行って調べてみようかな?
何か解るかもしれない。