第17章 卯の花月(5)
「朝から、楽しそうですね。私も混ぜて下さい」
「あっ!三成君!おはよう!」
下駄箱でバッタリ会った三成君。
朝から絶好調のエンジェルスマイル!
「おはようございます。今日は政宗先輩はご一緒では?」
「政宗、店の仕込みが忙しいみたいでね。朝練は来れないってメールがあって」
スイーツの試作品作りで、忙しいって前に言ってた。出来たら、皆んなで食べに行こうね!と言うと、三成君は顔をズイッと近づけてきて……
スラリとした指で私の髪を一房掴む。
「私は、出来れば二人で行きたいのですが」
「へ?二人で??」
「はい。先輩とデートとして行きたいです」
ぜひ、お願いします。にこやかな笑顔に断れず頷こうとした時、
「ひまり」
突然身体がふわっとして……
身体が後ろに引っ張られる。
「今日、日直でしょ?早く行かないと間に合わない」
「……え。……あっ!そうだった!」
私は大急ぎで上履きに履き替え、三成君にまたね!と挨拶して教室に向かう。
パタパタと廊下を走りながら、教室の前で一旦立ち止まり……
ようやく気付く。
さっき家康に掴まれた腰元が、熱くなっていることに。